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2007年2月20日 (火)

遊歴雑記

「清水の舞台から飛び降りる」気持ちで、¥60,000もする本を買っちゃった(15回払い・笑)。江戸時代の文化・文政の頃)に出版された紀行文、十方庵大浄敬順の『遊歴雑記』。三弥井書店からでている影印本(江戸時代の紀行文を写真版でそのまま復刻した物)だ。

この十方庵大浄敬順という人、小日向水道端(現在の文京区水道2丁目)にあった廓然寺というお寺の第四代住職で、まぁほんとよく歩いている。江戸のあちこちや近郊の多摩だけでなく、秩父や東松山の辺り、相模の江ノ島やら。風景を賞美するのが好きで、携帯コンロもってって、行った先で煎茶を点てて飲むのが好きというくそ坊主、あ、いや風流人だ(笑)。

趣味人はいまでもそうだが、自分の趣味の合わない物に出会うと、テッテー的にコキおろす(笑)。この敬順和尚もすごい。
向島百花園のお話しだと、初代園主菊塢のことを「タイコモチ(幇間)的な人物で雅人ではない」と酷評。秩父の方に行ったとき、その土地で江戸風だと聞いて食べたものは、「甘ったるいだけで何の味もわかってないひどいもんだ」と書いたり。往々に客観的描写が心がけられているが、自分の「風雅」の基準に合わないものはほんとにボロクソ。いったいこれで坊さんなのかよ(^_^;;;;。口は驕ってるは、文句たらたらだわ(笑)。およそ「悟っている存在」とは思えない。こうして「心のありのままになる」のが「悟り」なのかねぇ(笑)。

他にも江戸時代には面白い本がある。喜多川守貞著『守貞漫稿』といわれる本なんかだと、吉原の遊郭までいかない低級な淫売"切見世"の、図入りの克明な描写までしてやがる。今で言うなら「風俗店のルポ」じゃん(笑)。よくまぁこんな記録が残ったもんだ。猥雑なまでに庶民の暮らしが見える。これ、当時のお芝居や料理の話しも書いてある。岩波文庫から『近世風俗史(1)~(5)』として出ています。

でもだからこそ大好き。本音を書いてるからこそ、面白い。官選地誌の「新編武蔵風土記稿」なんかだと、こうはいかない。それなりに村が見えるが、お上に提出した文書なだけに、猥雑な部分は一切ないもん。こうした本音の記録をありがたくは思ってるが、ハッキリ言って、喜多川守貞も十方庵大浄敬順も「ヒマ人だなぁ」とも思った(笑)。まぁよくもこんなに細かいこと、こだわって書き記しておくことが出来たもんだ。生きること自体大変な人もいたと思うが、これだけの余裕を持って暮らしていた人もいたんだなぁ。

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コメント

っていうと、今のブログ社会は後(あと)から振り返るととてつもない文化遺産を残すことになる可能性があるんだな。
東スポとっておこうかな…。(^_^;)

投稿: ジロー | 2007年2月24日 (土) 08時51分

>ジローさん
>今のブログ社会
>とてつもない文化遺産を残すことになる可能性

「残れば」ね。
でも、デジタルってボタンポンで消えちゃう。
ホント残せば、自分史でもあり、地誌でもあり。
ものすごい史料だと思う。

江戸時代のよかったのは、紙ベースでそれが残ったこと。しかも近代製紙技術で作られたものと違って「和紙」だから酸化に強い。虫には食われるけど(虫からしたら美味しいんだろうね)、近代初期の製紙技術で作られた本は、茶色く酸化してボロボロになっていっちゃう。

消えてゆくからこそ、歴史学があるのかもしれないなぁ。

そういえば今、この遊歴雑記でジローさんちの近くの話、読んでるよ。
西尾久3丁目の八幡神社と、東尾久8丁目にあった牡丹屋敷の話。
歩いて見に行きたくなった。

投稿: さかた | 2007年2月24日 (土) 12時47分

>「残れば」ね。
確か米国の公文書館かなんかが、定期的に世界中のwebサイト保存してるんだよね。
ホント、恐ろしい国だ。

デジタルデータは劣化しないけれど、改竄も痕跡が残らないから怖いけどね。(^_^;)

近所に来たら教えてね!

投稿: ジロー | 2007年2月24日 (土) 13時11分

>米国の公文書館かなんかが、
>定期的に世界中のwebサイト保存してる

あ、そう。恥ずかしながらそこまでは知らなかった。
ご教示ありがとうございます。

アメリカのNational Archive(国立公文書館 NARA)はすごいよ。今、日本の空襲史研究は、ここにある作戦任務報告書(Tactical Mission Report。略してTMR)と日本の史料との比較研究が主流。とにかく記録の細かさは度肝を抜かれるよ。

投稿: さかた | 2007年2月24日 (土) 13時33分

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