« テンポ恐るべし! | トップページ | 混沌のまま…、それでベスト »

2007年6月 1日 (金)

いいものは、まっすぐ心を打つ

僕が高校出て浪人・大学あたりからの音楽活動で、細々ながらもずっとお世話になってるPA屋さん・音響サービスの新井さん。先日シンドウさんレコーディングで必要があってマイクスタンドを借りに、久々に伺った。

ステージ&リハーサルマナーや機材の取り扱いなどはこの方に大体教わった。ステージモニターではとてもナチュラルに音を作ってくれる(これ怖いよ。自分の音がハダカにされる。下手くそには厳しい)。大変話がお好きなので(笑)、いつも大体貸借の儀式の他にも話し込んでしまう。この時はちょっと今までと違う話で盛り上がってしまった。浄瑠璃や新内といった"邦楽"の話、いちばん刺激的だったのは盲目のおばあちゃんが三味線の弾き語りで物語を語る、"瞽女(ごぜ)歌"の話だった。

「まだねぇ、俺が20代だったぜぇ。東大駒場祭のPAの手伝いに行ったんだよ。東大とはいっても結構荒っぽくてね。かならず近所から苦情が来てた。ロックでドンスカやってる中に、80過ぎの瞽女(ごぜ)歌のおばあちゃんが出たのよ。もうスゴイの。二、三、物語について解説したらすぐ語りに入っちゃう。かすれた声なんだけどよく通るんだ。物語はスゴイ残酷なんだけど声が明るくってさぁ。三味線も難しいフレーズ一切ないんだけど沁みるんだよ。俺、鳥肌たったぜ。ドンスカやってる前後のバンド、霞んじゃったもん。芸の力ってすごいよな」

盲目の芸人・瞽女さん、越中高田の人たちが有名だが、冬、先導の人に手を引かれて数人のパーティを組み、村々をまわって「葛の葉」「山椒大夫」「小栗判官」「信徳丸」といった物語を聞かせる。語りの稽古は冬場の川原で、喉がつぶれるまで語るような稽古と聞いたことがある。そんな稽古で通る張りのある声を作っていく。門付けしながら金がとれるかとれないかの真剣勝負。また盲目なのをいいことに少女の頃、女性として非道いことをされたこともあるらしい。新井さんが聞いたそのおばあちゃんは、かといってそんな苦労や力みは芸に一切出してはいないのだが、まっすぐにこちらに飛び込んでくるスゴい芸だったそうだ。

いいものはジャンルなんか関係ない。まっすぐこちらの心を打つ。気合いなんだろうな。このおばあちゃんみたいな力みのない境地までいくのはこりゃ相当だろう。僕に出来ることといえば、いろいろ七転八倒して考え、やめずに続けるしかないな。それにしても新井さん、ほんとジャンル関係なく音楽聴いてる人だなぁ。

|

« テンポ恐るべし! | トップページ | 混沌のまま…、それでベスト »

コメント

>いいものはジャンルなんか関係ない。まっすぐこちらの心を打つ。

こちらの態度も大事だと思うよ。
素直な姿勢でなければ沁みないんじゃないかな。
新井さんもサカタも、普段から自然体でいられる天性をお持ちと見た。

投稿: ジロー | 2007年6月 1日 (金) 22時43分

>ジローさん
打たれて打ちのめされて、
自分のことほんと嫌になっちゃう時もあるよね。
ありのままでいたいっす。
24日の美ヶ原、健闘を祈ります。

投稿: さかた | 2007年6月 2日 (土) 13時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: いいものは、まっすぐ心を打つ:

« テンポ恐るべし! | トップページ | 混沌のまま…、それでベスト »