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2008年3月23日 (日)

解剖と採譜

16日の晩、車を運転していた。品川区大井の父の家から荷物を運ぶ帰り、もう22時過ぎ。ラジオでとても面白い話が聞けた。第一線の研究者を呼んで「なぜ研究者になったのか、研究の楽しさ」を語ってもらう、受験生向けの番組。この晩のゲストは京都大学霊長類研究所の遠藤秀紀さん。動物の解剖からわかる、進化の歴史について話されていた。

とにかく明るい。研究を楽しんでおられる様子が伝わってくる。
印象的だったのは、小学生の時のきっかけになった出来事。

遠藤さん:男の子って動くものが好きじゃないですか。それが僕の場合は動物だった。ずっと飼っていた金魚がね。ある日死んじゃったんです。お腹を上に向けて浮いてて。『なぜ昨日まで元気だった金魚が死んじゃったんだろう』ってのが不思議でしょうがなくて、僕、カッターナイフやハサミ持ってきて、解剖してみたんですよ。それがはじまりといえばはじまりかも知れない。
人によっては僕のしたことを「残酷」って言うかもしれない。でも土に埋めて祈るのも生命に対峙する一つの方法だし、僕みたく「なぜなのか」を突き止めようとすることも、生命に対する真剣な態度だと思うんですよね。


遠藤さんは、イヌ、ネコ、タヌキ、ゾウ、さまざまな動物遺体を年間200体ほど解剖しているそうだ。その研究を歴史学にもたとえて話される。

遠藤さん:歴史学でもいろいろな古文書を持ってきて、その中から歴史観を作り上げていくわけでしょう。僕らの場合は「動物の形の移り変わりの歴史」が相手。様々な動物のいろいろな部分に、そうした変化の痕跡やらが隠されている。だから解剖して科学的事実を積み重ね、それを明らかにしていくんです。よく僕を「パンダの専門家」という言い方する人いる。けど、そう言われると僕、「違います」って答えてます。パンダだけを見ていても、パンダのことはわからないんです。ありとあらゆる動物を解剖して見つめる中で、はじめて何か一つわかるものなんです。最近、学校教育の中でも「解剖」が行われなくなってきています。科学は実際にたくさんのものを見て、そこから突き止めていくもの。生命にそうした態度で対峙する機会がなくなってきていることは、悲しいことですね。

話を聞いていて、いま趣味の方で自分のやっている「耳コピ&採譜」も、ある種「解剖」なんじゃないかと感じた。それは「素晴らしい」と思った音楽がどういう構造になっているかを、一音一音つぶさに見る行為だものね。そのあたりがシンクロしてとても面白かった。

注:下記加筆しました
「さまざまな動物を年間200体ほど解剖している」
→「さまざまな動物遺体を年間200体ほど解剖している」
藤さんが行なっているのは、もとの飼い主(動物園・個人)の気持ちを最大限尊重した上でいただいた遺体を、科学の目・技術で解剖し、新たに科学の世界で命を吹き込む、「遺体の解剖」です。謹んで加筆訂正いたします。ぜひ、遠藤さんの著書(遠藤さんのHPでわかります)を読んでくださること、おすすめします。
またこう書いたからと言って、食肉用の牛・豚の解体を否定する立場にも僕はありません。あれは食肉として最大限生かし切る職人的技術の世界です。鎌田慧著『ドキュメント 屠場』(岩波新書)を読むと、それがよくわかります。

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コメント

毎度です!

確か以前「動物のお医者さん」というドラマがあって、獣医になる学生が解剖するシーンの描写が面白いなと思いました。

普段飼育して可愛がっている牛を、授業の解剖実習につかうということで、学生達が葛藤するのですが、かわいいと思う「愛情」と解剖しなければいけない「現実」をどう受け止めるか、ということだったんです。学生一人ひとり、それぞれが持つ違う考え方をきっちり描いていて、とても興味深いものでした。

私の立場からはどうこう言えませんけど、「倫理」という、生きていくための規範みたいなものを持っているヒトという動物は、どうも小難しいことを抱えていかないといけないのだな、と思っています。小難しいことを考えて、それを解決しようとするとまた小難しいことを使って、また別の部分で小難しい問題が出てくる。本当に疲れてきますね。

あ、かなり本筋から離れましたね。ドラマもたまにいいプロットのあるものがありますよ。

投稿: をーつき | 2008年3月23日 (日) 15時13分

「耳コピ&採譜」って一体???

骨董といい、自転車、鉄塔といい、いろんな趣味をお持ちなんですね!(@ @;

投稿: ハマ | 2008年3月24日 (月) 08時47分

>をーつきさん
>普段飼育して可愛がっている牛を、
>授業の解剖実習につかうということで、
>学生達が葛藤するのですが、

食肉用の牛や豚の畜産農家の人たちは、飼育する牛や豚に決して名前を付けないそうですね。名前を付けたら情が移って食肉用にできなくなるそうです。

>「倫理」という、生きていくための規範

「原罪」や「業」とかいう言葉である方と議論をしたことがあります。人間を動物と考えれば、いらないものなんだけど、社会性を考えると、必要になってくるものなのだろうか。地球上の生活可能区域の広さに対して増えすぎてしまった人間が、何とか暮らしてゆくための智慧なのかなぁ。。。

>あ、かなり本筋から離れましたね。

全然離れてないよ(^^)。

>ドラマもたまにいいプロットのあるものがありますよ。

最近TV見てないからなぁ。あ、でも先日山田太一ドラマでいいセリフに出会ったなぁ(下記URL)
http://tonstones.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_c374.html


>ハマさん
>「耳コピ&採譜」って一体???

説明が足りませんでしたm(_ _)m(記事内にわかるようなリンクも足しました)。CDで聴けるいろいろな曲を、自分の耳でつぶさに聞いて、ギターをつかって音程を採り、譜面に起こしてゆくことです。耳を鍛える意味と、「いいな」と思った音楽がどのように出来ているかを考えられる良さがあります。手間はかかりますけどね(^^)

>いろんな趣味をお持ちなんですね!(@ @;

好奇心のカタマリ、道楽者ですいません(^^;;;;)
そうさせてくれるカミさんに感謝です。

投稿: さかた | 2008年3月24日 (月) 09時20分

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