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2009年3月 1日 (日)

N響オーボエ・茂木大輔さんの著作

クラシック音楽を「お勉強」でなく、楽しむきっかけを作ってくれたのは、指揮者・岩城宏之さんの著作。ところが氏は2006年6月に逝去。幾度も病気を明るく乗り越えてこられただけに、「え? なんで?」といったショックこそはなかったが、やはり大変に残念だった。ほんとにクラシックの音楽家の人間くさい面をたっくさん紹介してくれた人だっただけに。

でも、その道を継ぐ著作を見つけた。N響首席オーボエ奏者・茂木大輔さんの著作。『のだめカンタービレ』コミックスのアドバイサーもなさっておられるので、ご存じの方も多いと思う。いくつもの著作をお持ちだが、僕が好きなのは下記の3冊。

『オーケストラは素敵だ-オーボエ吹きの修行帖-』

『はみだしオケマン挑戦記 オーボエ吹きの苛酷なる夢』

『オケマン大都市交響詩 オーボエ吹きの見聞録』

全て中公文庫

日本の音大を卒業し、ギュンター・パッシン氏に認められて渡独。オーボエ奏者としての本格的修行を開始したときのドタバタ苦労話が満載(^^)。「オレは口が達者である」と自負してる方だけに、マジメな部分もハメの外れた部分も最っ高にオモシロイ。「古典亭盃呑(こてんてい・はいどん)」と称して、お仲間の前で落語を語るほど(^^)。そしてこの方、出身が東京都小金井市。シャレにも中央線沿線の話題が満載なのだ。

茂木さんがバイエルン放送交響楽団のオーディションを受けたときの話。「オレはモーツアルトを業界水準よりいささかぶっぱやく聞かせることにした。ピアノの伴奏は中央線特別快速高尾行きというスピードでスタートした」なんて(笑)。
また、オーストリアの大富豪のお城のような邸宅で、茂木さんが演奏した時の話。そのお城、門から屋敷まで車で数分かかるような規模!「門番小屋だけで武蔵小金井駅くらいの大きさがある」なんて書いてある(笑)。
リリンク指揮のバッハアンサンブルで、二番オーボエのヘダ・ロトヴァイラー氏から徹底的にプロとしてしごかれた話もすごい(茂木さんは三番オーボエ)。オーケストラではオーボエがAを発してチューニングするが、その音色ですらメチャメチャダメ出しがでる。演奏中に身体を揺すってはいけない。ドイツ語の文章をイメージしながら吹け、「徹底的に周りを聞いて」ミクロの正確さで合わせろ、云々。人様にほんとうにまともに聞いてもらうためには、これほどまで必要なのだ、と心が痛くなる。でもその仕事の中で、世界最高水準のバッハ演奏を聴き続け、ついには「ロ短調ミサ」演奏中に真性のバッハ中毒になっていく過程もとても興味深い。

茂木さんのホームページでわかるけど、戦艦や飛行機のプラモづくりもすごい。さすがオーボエのリード削りで手先が器用なだけあります。クラシック音楽は難しい、とか思ってる人にぜひ読んで欲しい。

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コメント

一度、N響の定期演奏会を聞いてみたいと思っているのですが、¥¥¥が高くて・・・(^^ゞ

投稿: はつかり5号 | 2009年3月 1日 (日) 17時28分

さかたさんはほんとうにどこから掘り出してきたんでしょ~みたいな本ご存知ですよね。
密かに発掘アドバイサーと呼んでおりますぅ。
本のコンシェルジュなどという言葉も独り歩きしていますが
何かクラシックの本で楽しめるような本が読みたいなどと
リクエストされましたらさらりとこんなのもありまーすなんて
言ってあげられるようになりたいものです。
その前に私がよんでみまーす。
でも明日は月曜日・・・休館日。。

投稿: ねも | 2009年3月 1日 (日) 21時06分

>はつかり5号さん
定期会員ですかぁ。愛するオケの変遷や深みを見守っていけるって、いいですよね。僕は定期会員になるなら日本フィルかなとおもってます。ここ、相性いいんです。行ったコンサートで結構、僕が「よかったな」って思う演奏に当たってるんで。N響も一度いってみたいなぁ。

投稿: さかた(Ton) | 2009年3月 2日 (月) 00時06分

>ねもさん
ちょこっと視点が変わるから、「どこから掘り出してきた」になるだけですよ。僕ぁ文学系だと全然わかりませんから。

クラシックの音楽を、音そのものでもう楽しめてる・感動出来てる人にはいらない本かもしれませんが、不幸にも学校教育でお勉強に聞かされてきてヤになってた人には、いいんじゃないかなぁ。それとやっぱり楽器やってる人間には「感じる」本だと思います。

投稿: さかた(Ton) | 2009年3月 2日 (月) 00時11分

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