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2009年5月31日 (日)

久々の142km(その2)-近現代産業遺産探訪-

この山梨県都留市方面サイクリングは、思いがけず「近現代産業遺産探訪」になった。僕は「これを見る!」と決めて計画を立てるのは好きじゃない(仕事で行くときは別だけど)。勉強したものを確認するようなのってワクワクしない。行った先で出会ったものでテーマを決める方が好き。

Img_2037 まず一番目は津久井クリーンセンター。単なる相模原市営(旧津久井町営)の清掃工場だが、建築デザインに妙に惹かれた。意外だっただけに「おっ!」見つめつつトロトロ走ってたら、ペダルのビンディングをはずし忘れ^_^;;;、見事に歩道上で立ちゴケしました(笑)。希望ヶ丘以来だ^_^;;。いつの竣工なんだろう。

Img_2050 Image001 ミュージアム都留(都留市博物館)で都留市の歴史常設展を眺めていると、近代の説明板に「鹿留(ししどめ)発電所の竣工」が写真とともにあった。この鹿留発電所(写真・地図のカメラアイコンが位置)は、僕が辿って記事にした高圧送電線"旧谷村線"(記事)の起点なのだ。ただ場所は博物館で地図をお借りして確認すると、博物館からは八王子と逆方向。富士吉田方面に戻ることになる。ちょっと迷ったが片道3km程度。見なくちゃ後悔すると思ったので、行くことに決めた。
あの捨てられた鉄塔にかつて架けられていた送電線は、ここで発電された電気を東京・目白や川崎周辺まで送電していた。大正2年(1913)運転開始。現在の発電機等は当時とは違うが、位置や落差・余水吐などの基本構造は当時と変わらない。桂川電力会社が建設したもので、同社は大正11年(1922)2月1日に東京電燈株式会社に合併される。旧谷村線は送電圧77000ボルト。日本における77000ボルト送電(当時の超高電圧送電)のはじまりだったそう。
桂川(相模川上流部の呼称)流域は、明治末期から水力発電の好適地としていくつもの発電所がある。日露戦争に向かう情勢を背景に、石炭価格の高騰や使用制限などがあり、爆発的に増える東京市の電力需要をまかなう大規模発電資源として、火力にかわって「水力」が選ばれたのだそうだ。

Img_2057 Image003 次に出会ったのは落合水道橋(写真)。これは下流の大月周辺にある東京電力駒橋発電所(明治39年〈1906〉竣工)への水路橋。見事なレンガ構造物。もう100年以上"現役"。ところでこの場所(地図のカメラアイコン)でこの写真の高さに見えた水路。大月まで行くと下の送水管の写真に見られるくらいの落差になる。水路の勾配を桂川の勾配より緩くして、駒橋発電所の直上ではこの落差を作り上げてしまうのね。同じような工夫は江戸時代初期開削の水路「玉川上水」にも見られる。羽村で取水した水が福生の先では武蔵野台地の上を流れている。これも同じ工夫。100年現役水路のレンガ構造を作った土木技術もさることながら、測量技術にも驚く。確かに欧米の技術は入ってはいるが、箱根用水やそれ以前の玉川上水などを作り上げた測量技術、和算の発達を思えば、技術を受け入れ、我がものとする下地はあったんだよね。
Img_2060 Img_2059_2 駒橋発電所の発電機への送水管は、大月から国道20号線のバイパスを通るところでダイナミックに観察出来た。ただここ、大型トラックがビュンビュン通るので写真を撮るのがメチャメチャ怖い(笑)。マトモなヒトにはここでの観察はオススメしません^_^;;;。

Img_2063 都留市から相模湖までは基本的に勾配は下り基調だし、八王子での予定までに時間的余裕がなかったので、僕なりに一生懸命飛ばした。ただ猿橋はやはり見ておくべきだと思ったので、寄った。だが僕に気になったのは「名橋猿橋」より、猿橋と新猿橋の間、眼下に渡るトンネルレンガアーチの見える水道橋だった^_^;;(写真)。調べてみたら「八ツ沢発電所一号水路橋」(明治45年(1912)完成)だそう。国の登録文化財でもあるそうだ。先ほどの発電所のある駒橋で取水され、水路はここで桂川を渡って左岸へ行く。国道20号を走りながら併走する中央本線にも、トンネル入口のアーチなどに見事なレンガ積みが見られる。停まってじっくり見たかったが、とにかく鈍亀の自分に大垂水峠をユルユル登るアドバンテージを作っておきたかったので、スルーした。宿場風の景観も石仏や神社・仏閣も(T_T)。こんどはゆっくり停車しながら走ってやる!

いやほんと、速く走るのってもったいなくってね~。風景がこんなに語りかけてくるんだもん。こんなサイクリング、大好きっす(^^)

【参考文献】
『東京電燈株式会社開業五十年史』(1936年)
『水力電気事業実況』(1908年)
刊行はどちらも東京電燈株式会社

【参考WEB】
「産業技術遺産探訪~旧・桂川電力公司 鹿留発電所フランシス水車」(http://www.gijyutu.com/ooki/tanken/tanken2002/sisidome/sisidome.htm)
「がっくりしていってね」(http://www.fastwave.gr.jp/diarysrv/kiwamoto/200608a.html)
「中部産遺研会報vol.13 pdf」(http://www.tcp-ip.or.jp/~ishida96/CSIH/Newsletter/Newsletter_11-20/CSIH_Newsletter_13.pdf)
「藤森研究室 佐々暁生氏profile」(http://tampopo-house.iis.u-tokyo.ac.jp/researcher/res-sassa.html)

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コメント

鉄塔だけじゃなくて見るところが違うなぁ。でも撮影には気を付けてくださいね。
私は、走ってると”止まるのが勿体ない〜”ってなってしまうので、なかなか止まれないです(^_^;;

投稿: 柴犬461 | 2009年6月 1日 (月) 22時19分

>柴犬461さん
あははは、これでも自転車で走るのは好きなんです^_^;;。いやほんと駒橋発電所の撮影は怖かった。ひょっとしてあそこ、自転車通ってヨカッタのかなぁ?(笑)

>走ってると”止まるのが勿体ない〜”
あの自転車ならそうです(^^)。みんなスゲーの乗ってるもんなぁ。クリンチャーをプロレスの技と思った僕でも^_^;;、その凄さぐらいはわかります。僕でもやっぱりスポーツ系の自転車って、止まる気薄くなりますね。やっぱり走ってて気持ちいいですもん。今回はイヤってほどサドルの上にいられて、ホント幸せでした。月一回over100kmは恒例化したいなぁ^_^;;。

投稿: さかた(Ton) | 2009年6月 1日 (月) 23時03分

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