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2009年6月30日 (火)

あざみ完登、足つき無し

僕が鈍亀登坂にこだわるきっかけ、それは20年くらいまえに読んだ自転車雑誌の老舗『CYCLE SPORTS』(いまもある。当時は『サイクルスポーツ』とカタカナ表記だったような)。ある方が少年の頃の自転車の思い出を書いておられた。中学生ぐらいのその方がお父さんも含む、自転車店の仲間と一緒に、日光のいろは坂を登りに行った話。こんな話だったと思う。

登り始めた時だった。足に自信のある人たちはさぁっと登っていってしまった。当然私もついていこうとした。でも父は私のサドルを掴みこう言った。
「さぁ、いちばんギアを軽くして、ゆっくりゆっくり走っていこう。スピードを出したらつぶれてしまうよ」
ついていきたかったが、私は父の言うとおりにした。中腹ぐらいまで登った頃、先に行った仲間達が休んでいた。そこをゆっくりと、でも止まらずに登っていくと、「ヤバイ」と言った雰囲気で、彼らは自転車に跨り、また走っていった。
でも結局私は、最後まで足を着かずにいろは坂を登り、その時のメンバー全員の中でも真ん中ぐらいでゴール出来てしまったのだった。

20代半ばで、レースにこそ出なかったがガンガン走ってみて、速く走れない自分に何か空しくなってきた時、この話を思い出した。何も自転車を嫌いになるような乗り方なんかしなくていい。この鈍亀走法なら、景色も美味しいものも全て味わえる。自転車は好きなのだ。これだ!と。


前置きが長かったが、、、

27日(土)に富士あざみラインを登ってきた。前回の富士あざみライン登坂は昨年7月下旬。約1年ぶりのあざみだ。別にリベンジなんかしようと思わない。坂は友達。敵じゃないからね(^^)。ただその間、自転車通勤の面白さに出会い、ふとしたきっかけで、この1ヶ月は体力作りをしていた。別にこのあざみ登坂に照準を合わせた訳じゃない。だからその後も身体の発する言葉に耳を傾けながら、いつも通り続けてるしね。

dog_song_jackさんに山中湖畔まで車で連れてきてもらい、籠坂越えてあざみラインの入口へ。トイレに入って自己軽量化^_^、浅間神社に手を合わせ、JIROさんへ11:04に「登坂開始」のメールを送る。登り口の道が意外に混んでいて、渡るのに2分ぐらいかかり登坂を開始したのは11:07ころだった。

Img_2294 最初の3kmちょっと続く10%の直線登坂(写真左)。昨年は3kmちょい手前でボトルを落とし、一回目の足つきをした。その時、結構ハァハァ言ってたのだ。その坂を今回は28×28を中心に28×34も混ぜながらゆっくりと登る。去年と全然違う。まったくハァハァがない。心肺も足も十分に余裕がある。周りを見回すのが楽しい。
そんなこんなで味わいつつ登ってた3kmあたり。後ろから走ってきた車が、僕を抜かさずにジリジリと着いてくる(笑)。ヤァな予感がした^_^;;。ゆっくり僕に並びかけたところに、助手席から罵声が飛んだ(笑)。

「チンタラ走ってんぢゃねぇぞ! コラぁ!!」

「んっ!!」と思って振り返る。ピンクのジャージ着てサングラスかけたオヤジがにこにこ笑ってやがる。運転席にはJIROさん。坂に集中していた僕は、そのオヤジのかけてたサングラスのおかげで一瞬誰だかわからなかった。正直ムッとした(笑)。「チンタラ走るのが、僕の走り」なのだ。罵声を浴びせた後、車は少し先に行き演習場への分岐のところへ車を止め、降りてきた。その時やっと、「あ。奥武蔵爺! 来れたんだぁ!!!!」と嬉しくなった。お仕事で来られないはずだったのだ。

JIROさんが「Allez! Allez!」(フランス語で行け行け!)と声をかける。ここでスピード上げちゃ、鈍亀走法の名折れである(笑)。時速4kmほどだったのをさらに落として2.5km/hくらいにしてやった^_^;;;。二人して写真をまぁたくさん撮ってくださいました。あの遅さでもまっすぐ走ってたぞ、俺。この坂・この遅さでまっすぐ走るってのも、たいした芸当だろ^_^;;;。
このゲキ、すごく嬉しかった。この後すぐに「鳥の絵」。そこから若干緩いワインディングがあるのだが、思わずスピードを上げてしまう自分がいた。でもスピードが上がってくると努めて緩める。僕はこの坂を速く上るために来たんじゃない。「味わうため」に来たのだ。それにここでつまらんカッコつけて売り切ったら先が持たない。あざみはそんな甘い坂じゃない。
6kmすぎの馬返に来ても、足に全然疲れはない。呼吸も正常。とても楽しい。7km過ぎにあざみラインは急勾配の牙を剥くが、蛇行もせずにまっすぐ登っている自分がいる。たださすがに8kmすぎの急勾配区間では「おい、このままつまんねー意地張ってまっすぐ登ったら売り切れるぞ」と身体が訴えてきた。ここからは上下からの交通に耳を澄ませて注意しながら蛇行する。こうして登れば負担は少ない。止まらずにいける。

Img_2295 そのうちに10kmを過ぎた。まだまだ足も呼吸も十分に余ってる。去年の自分がシンジラレナイ気分。「絶対に足つき無しでイケル」と確信した。ゴールはいちばん上の第3駐車場にまで行った。一度そこがゴールになった事があると聞いたことがあるので。結果は2時間17分。昨年より20分も速い。しかも足つき無し。とても幸せだ。やっとサイスポで読んだ「鈍亀の極意」を、このあざみで証明出来た。あと1時間なら同じ調子で登ることは出来たね。なにせ「歩く程度の負荷で走る」のが鈍亀走法なんだから(^^)。

08profile 09profile これは去年(左)と今年(右)の、横軸距離・縦軸速度のグラフ。ね、去年は4回足ついてるけど、今年は全然停まってないでしょ(^^)。ま、今年は停まらなかった分だけ速いだけだわ。

Img_2296 幸せな気分で、茶屋でシイタケ茶をいただいた。すごくしょっぱいのだが、僕は1リットル弱のボトルの水は飲みきって汗だらけ、それで身体の塩分も失われていたのか、とても美味しい。そして楽しみにしていた「コケモモソフトクリーム」を食べた。自転車で登って食うこのソフトクリームは最高だぁ!! そんな気分でまったりしていたら、ginさんたちやJIROさん、PaPaさんが自転車で、爺!も車で上がってきた。楽しく話してるうちに、もう完璧にヨルクラモードになっちゃいました(^^)。

その後、皆でレース受付まで下っている時、女性が一人、MTBでゆっくり上がってらした。この時はいつも以上に「ガンバレ!」って気持ちだった。同じような自転車。でもこの坂を味わい、楽しむことは出来るのだ。こんなメタボデブな僕が登れるんだから、誰でも登れる(^^)。こうやって坂を楽しめる人が増えるのは、僕ぁ嬉しいね。坂は友達です。あざみラインはステキです(^^)。来年もまたレース前日登坂してみよっと(^^)。

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コメント

tonちゃんすご~い!完走おめでとー♪
思いっきり楽しんでるじゃん(^◇^)翌日はお仕事だったのね~お疲れ様でした!


投稿: ぴ~ | 2009年6月30日 (火) 06時33分

これ、実にいい記事ですね。
自転車に限らず、なんでも愉しみ方はいろいろあると思います。
やり方は少々違っても、愉しむことを目的にしてるのに共感だなー
ワタシも自転車を嫌いになりたくないし。

投稿: JIN | 2009年6月30日 (火) 21時32分

「坂」、誰でも、どんな形でも、上ってくる者を拒みはせず、その様子を黙って見守ってるだけ。
失敗した者を何度でも受け入れてくれる。
「母」のような存在です。
また来年も上るぞぉ~~(^^)/

投稿: PaPa | 2009年6月30日 (火) 22時14分

本当に”飽き性”な自分としては、自転車というモノがいつまでも好きでいられるモノであって欲しいと…思ってます。
楽しい趣味でも、1人でだと長く付き合うのは難しいのですよね。回りに同じ喜びを知ってる、そして話せる仲間がいる事が、とても大事なんだと思います。
だから…多分大丈夫かな?って思えるのですけどね(^_^)

投稿: 柴犬461 | 2009年6月30日 (火) 23時01分

今回登りながら思ったこと。まだレースの方では登っちゃいかんな、ってこと。僕をバンバン抜いていくローディたちの走り見ていて、「これはヒヤカシにしても出ちゃ失礼だ」と思いました。でもあざみラインからは逃げません。前日登坂はある意味1年自転車に乗った集大成。「自転車暦の大晦日」にしたい。そしてヨルクラに気持ちよく参加しようと思います。無理なく2時間切れるようになったら、あのお祭りに参加しようかな。それなら、自分で許せそうです。


>ぴ~ちゃん
ありがとうございます。
そうそう、JINさんが朝の目覚めに優しさがない、って言ってたよ(^^)。爺!が叩き起こしてまわったからなぁ(笑)。ヨルクラにyuuさんとぴ~ちゃんがいた去年はやはりすごい。

>思いっきり楽しんでるじゃん(^◇^)
はい! 楽しくなきゃ自転車ぢゃありませんです(^^)。
ガキの頃の遊び、そのまんまですから(笑)。

>JINさん
>愉しむことを目的にしてるのに共感だなー
だからヨルクラははずせないよね~^_^;;、って今回僕ぁ寝てたけど(笑)。あれは先頭交代のようなもん(笑)。ヒルクラ落車はカンベンですけどヨルクラ落車は至福です(^^)

>PaPa僧正^_^;;
PaPaさんのコメントも含蓄あるなぁ。
ほんと登り方は人それぞれ。周りの動きを見て登ってさえいれば、坂って自転車に乗っている感を深くさせてくれる、素敵な場所ですよね。漕ぐのやめたら停まっちゃうし。来年も前日登坂を楽しむよぉ(^^)。ヨルクラでまたよろしくお願いします(^^)。

>柴犬461さん
>本当に”飽き性”な自分
これ、僕もそう。でもギター・音楽と自転車だけは、つかず離れずいつも側にいます。縁だよねぇ(^^)。

>回りに同じ喜びを知ってる、
>そして話せる仲間がいる事が、
>とても大事なんだと思います。
>だから…多分大丈夫かな?

同感ですわ(^^)。間違ってれば叱ってくれるし、ほんとスポーツってハッキリしてるから、爽やかですわ(^^)。自転車って公道で肩身の狭い乗り物だけに、ほんとお互い注意して楽しみ続けたいよね(^^)。

投稿: さかた(Ton) | 2009年7月 1日 (水) 00時26分

今回、ヨルクラチャンプは石やんだったけど、ヒルクラチャンプはサカタ隊員だな。
きちんと目標を達成(柴犬さんもね♪)し、誰よりも長くあざみラインを楽しんだから!


やっぱりヘンタイだなぁ。(@_@;)

投稿: JIRO@超級山岳症 | 2009年7月 1日 (水) 09時35分

>JIROさん
ははは、ありがとう(^^)。でも楽しんで帰れたならみなチャンプだよね。幸雷の神風さんの徹底的なあざみ攻略分析も読んだけど、あれも楽しみの一つ。真逆な僕もそう。ほんと自転車って素敵だね(^^)。
今回登ってる時、4.5kmあたりかな。道路沿いを草刈りして管理してる方とすれ違いざまお話しした。

僕「こんにちわ~、お世話様で~す」
その方「大変ですねぇ。明日のレース出るんですか~」
僕「あははは、こんな鈍亀で走ったら迷惑ですよ~。僕はじっくり楽しみまーす」
そうしたら笑顔を返してくださった(^^)

7km前後でグレーのジャージ着たあるローディさんは僕を抜きながら
ローディさん「ここは厳しい坂ですねぇ(^^)」
僕「あははは、そうですねぇ。でも僕は鈍亀に楽しみますよ~(^^)」
にっこり笑ってまたすいすい上がっていった(^^)。彼は降りてきたときも会釈した。

街中だと、ちょっと寂しい思いもしたことあるサイクリスト同士の連帯感、あざみのような激坂走ってるとしっかり感じたね(^^)。これがすごい嬉しかったよ。ヒルクライム、やめられないね。あ、ヨルクラも(笑)。

投稿: さかた(Ton) | 2009年7月 1日 (水) 12時28分

お疲れ様でした〜!
まずは足付き無しでの登坂おめでとうございます(^^)
やっぱりココは特別な気がします。
足着いても押しても登り切った時の達成感が違うと思うんですよね(^^)v

サイスポの話しは実に良い話しですね。
まず自転車を楽しむことが一番ですよね(^^)ノ

下から一緒に登るのも良いけど、頂上で会ったのが凄く嬉しかったから、また来年も頂上でお会いしましょう♪
そしてヨルクラを楽しむ!
これ大事ww

投稿: gin | 2009年7月 1日 (水) 18時30分

>ginさん
>やっぱりココは特別
はい、集まる人が特別愛すべきヘ○タイなんではないかと。残る2本も2年以内には登りに行きたいですわ。でもなぜかスバルラインには食指が動かないボク^_^;;。

>サイスポの話
いいですよね。僕はこれで行きます。

>また来年も頂上でお会いしましょう♪
それぞれが走りたいペースで走って、頂上で会う。ステキですよね。来年も絶対に行きますよ。

>そしてヨルクラを楽しむ!
また落車しちゃうかもしれないけど、でもそれも至福ですしね(^^)。

投稿: さかた(Ton) | 2009年7月 1日 (水) 23時34分

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