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2011年5月24日 (火)

Jack Swigert

この科学技術時代に、科学技術の知識がなければ、世の中をどうしていけばよいなんてことは、まるでわからないはずだ。ところが、アメリカの議会では、535人の上院議員のうち、科学技術のバックグラウンドがある議員は、たった5人しかいないんだよ。(中略) アメリカの議員は、もっぱら弁護士でできあがっているのだ。そりゃ、彼らは頭のいい連中だ。しかし、どんなに頭がよくても、現代の技術はテクニカルバックグラウンドなしには理解できない。議会にはもっともっとたくさんのエンジニアが必要だ。エンジニアだけではない。医者も必要だし、農民も必要だ。医者抜きで医療政策を論じられないし、農民抜きで農業政策を論じられない。いや、論じるだけならできるし現にやっているが、それは本質的な理解が欠如した議論だ。アメリカの議会は、弁護士の集団から、もっと職業的にバラエティに富み、もっと専門的知識、もっとテクニカルな知識を持った人間の集まりにならねばならない。
 (中略)
テクノロジーの理解は政治家の充分条件ではない。しかし必要条件ではある。問題は、この必要条件を欠く政治家が多すぎることだ。なぜ、テクノロジーの理解が政治家の必要条件かというと、現代社会が解決を迫られている問題のすべてが、テクノロジカルな解決を必要としている状況にあるからだ。
 (中略)
産業革命以前の農業社会にいますぐ世界中で戻ってしまおうというのなら、エネルギー問題も消えてなくなるのかもしれない。しかしそんなことはできない。いま農業社会に戻るとしたら何十億人という人が死ななければならない。いまの農業生産力は様々のテクノロジーによって支えられているのだから、農業社会に戻ったら、農業生産力はガタ落ちになり、餓死する人が続出する。テクノロジーのもたらした弊害を批判するあまり、テクノロジーの発展に後ろ向きの姿勢をとる人々が最近多くなってきたが、冷静に考えれば、結局のところ、前向きにテクノロジーを利用していく以外、人類が生きのびる道はない。

アポロ13号の司令船パイロット、ジャック・スワイガート(現在は故人)へのインタビュー(出典:立花隆『宇宙からの帰還』文庫版、1985年より)

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コメント

いい話だ。

投稿: 近藤 | 2011年5月25日 (水) 23時22分

>近藤
でも30年近い前の本なんだよね。

投稿: さかた(Ton) | 2011年5月25日 (水) 23時58分

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